概要

いよぎんホールディングスが2025年8月に新設した「AX戦略室(Alliance Transformation)」。地域の課題解決や新たな事業領域の拡大を目指し、20億円規模のCVCファンドを立ち上げ、スタートアップとの共創に挑んでいます。地方銀行ならではのネットワークと信頼を活かしながら、「ともに挑む。ともに成長する」を合言葉に未来を描く取り組みを行っています。

 

代表者インタビュー

いよぎんホールディングス
営業企画部 AX戦略室

中崎 賢一 ・ 越智純也Kenichi Nakazaki ・ Junya Ochi

オープンイノベーションで地域課題に挑む いよぎんホールディングス

AX戦略室について教えてください

いよぎんホールディングスの「AX戦略室(Alliance Transformation)」は、2025年8月1日に営業企画部内に設置された新しい組織です。現在は4名のメンバーで活動を行っています。チームの合言葉は「ともに挑む。ともに成長する。」。ロゴは、挑戦を象徴する「ファーストペンギン」をイメージしています。主な活動は、M&Aの投資戦略の企画や統括、スタートアップとの協業を通してグループの事業領域を広げながら地域課題の解決を目指すことです。まだ新しい組織ですが、柔軟な発想と行動力で挑戦を進めています。

CVCファンドを設立した経緯を教えてください

もともと、営業企画部としての私たちのミッションは「新規事業の創出」でした。これまで、銀行員である私たちが主となって新規事業を考えてきましたが、スピード感や専門知識の面で限界を感じていました。人口減少や空き家問題といった地域課題は、銀行だけで直接解決できるものではありません。そういった経緯からスタートアップとの協業、アライアンスを組むという方向にシフトチェンジ。実行力と専門性を持つスタートアップと、金融機関としての資金力や顧客ネットワークを持つ私たちが協力すれば、新しい可能性が広がるはず。こうした考えから20億円規模のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンドを設立しました。

いよぎんキャピタルとの役割の違いは?

「いよぎんキャピタル」はVCですので、投資先の成長によるリターン、いわゆるキャピタルゲインを目的としています。一方で、AX戦略室が設立したCVCは「戦略的リターン」を重視しています。伊予銀行グループの事業領域の拡大や地域経済の活性化、地域課題の解決につながることを成果と位置づけています。つまり、今回設立したCVCは地域経済や産業の持続的な発展を目的に投資を行う、という違いがあります。地域の持続可能な暮らしを守り続けることは、地方銀行の大切な使命です。人口減少や空き家問題、脱炭素化といった課題に向き合い、解決に資する取り組みであれば、銀行の直接収益には結びつかなくても支援対象としています。

活動への思いと支援内容を教えてください

活動が始まってからまだ日が浅いものの、首都圏でのピッチや面談を通じて、すでに50社近いスタートアップと接点を持っています。その中で感じるのは、スタートアップの技術力や熱意のすごさ。我々が持つ「地域課題を解決したい」という想いや課題感を、スタートアップの方々が具体的な技術とサービスで形にしている姿に大きな刺激を受けています。支援対象を選ぶ基準は「地域にどんなリターンを生むか」。CVCファンドによる出資だけでなく、事業連携や顧客紹介など、銀行ならではのネットワークを活かした支援を行います。端的な繋がりではなく、共に取り組むパートナーとして関係を築くことを重視しています。

今後の展望を教えてください

スタートアップ、地域企業、自治体、大学、そしていよぎんホールディングス自身が、それぞれの強みを持ち寄りながら新しい価値を生み出す未来を目指しています。そのためのキーワードが「オープンイノベーション」です。自分たちだけで解決しようとするのではなく、外部のアイデアや技術と手を組み、スピード感を持って地域の課題に挑んでいきたいです。さらに、このような取り組みを通じて、地域の課題解決だけでなく、愛媛でもスタートアップの挑戦が当たり前になるエコシステムを育みたいと考えています。

人口減少や産業の変化によって地域が衰退すれば、銀行のビジネスも成り立ちません。そういった意味でも「地域と銀行は運命共同体」です。我々は、銀行が地域の未来に責任を持つ姿勢を大切にしています。地域が活性化し産業が盛り上がることこそ、AX戦略室が描く未来の姿です。

支援を受けたい方は、どのようにコンタクトを取れば良いのでしょうか?

伊予銀行HPの「お問い合わせ」よりご連絡ください。X、facebookでのDMでも受け付けております。