【第2話】「英語が話せない」は言い訳にならない。東北大生に見る「視座」の高さ

~施設よりも凄かったのは「人」だった。世界を見据える同世代と、私たちの現在地~

前回の記事で、私たちは仙台の恵まれたスタートアップ支援環境『YUINOS』に圧倒され、「悔しい」と書きました。
行政、企業、大学、産学官連携が一体となったエコシステム。最先端の設備。
「愛媛にはこんな施設はないな…」
そんな「環境のせい」にする気持ちが、心のどこかにまだ残っていたのかもしれません。
しかし、その後の東北大学での視察で、建物や制度といった「ハード」の差ではなく、そこにいる学生たちの「マインドセット」の差が、大きかったと思います。

 

「起業」は目的ではない。「人生」を問う授業

私たちは、東北大学片平キャンパスで、アントレプレナーシップ教育を担当する松下ステファン悠先生のお話を伺いました。
「起業の方法」や「資金調達のテクニック」を教わるつもりでした。
しかし、先生の口から出た言葉は、予想とは全く違うものでした。
「君たちは、人生を本気で考えているか?」
東北大学のアントレプレナーシップ教育は、単に起業家を作るためのものではありませんでした。
「自分の人生をどう切り拓くか」「社会に対してどうありたいか」。その生き様そのものを問うプログラムだったのです。
実際に、この講義を受けた学生の中には、「自分が本当にやりたかったことは、今の学部にはない」と気づき、転部を相談しに来る人もいるそうです。
テクニック以前の、もっと根源的な人生で何を成し遂げたいのかの「覚悟」を問われているのだと強く感じました。

 

「英語」は特別なスキルではなく、ただの「道具」

そしてもう一つ、私たちが強く感じたのが「基準値」の高さです。
視察したピッチコンテストや学内のプログラムでは、当たり前のように「英語」が飛び交っていました。
フランス人のエンジニア、インドや台湾からの留学生。多国籍なチームが組成され、議論も発表もすべて英語。
そこに「英語が苦手だから」と尻込みする空気は微塵もありません。
さらに衝撃だったのは、彼らが取り組む課題のスケールです。
「身近な生活アプリ」レベルの話ではありません。
「ディープテック(深層技術)」を活用し、世界の医療課題や環境問題をどう解決するか。
彼らの視線は、最初から「世界」を向いていました。
「松山だから、英語は使わなくていい」
「学生だから、まずは身近なアプリ開発でいい」
誰に言われたわけでもないのに、私たちは勝手に自分たちの限界を決めつけていました。
彼らは私たちと同じ「大学生」です。
違うのは能力ではなく、「どこを見て戦っているか」という「視座」だけでした。

もし明日、松山に『YUINOS』ができたら?

もし明日、松山に『YUINOS』ができたら?
「もし明日、松山に仙台と同じ立派な施設ができたら、私たちは彼らのように世界を目指すビジネスを作れるだろうか?」
答えは、今のままでは「NO」だと思います。

私たちが負けていたのは、「予算」でも「場所」でもなかった。
「環境がない」ことを免罪符にして、勉強不足や視座の低さから目を逸らしていた、自分たちの「甘え」に負けていたのです。
愛媛に足りないのは環境ではなく、それを使いこなす私たちの「実力」と「覚悟」だと思う。

 

松山から始める

この仙台視察で「本来あるべき基準」を知れたことは、私たちにとって最大の財産になりました。
施設を作るには数年かかります。予算も必要です。
でも、「視座」を上げることは、今この瞬間から、一円もかけずにできます。
「英語が話せない」は言い訳にならない。
「地方だから」は甘えでしかない。
自分たちの現在地を痛いほど思い知らされた私たちは、松山に帰って何をするべきか。
次回、最終話。
ただの「意識高い系」で終わらせないための、私たちえひめ学生起業塾の「行動宣言」をお伝えします。


(第3話へ続く)
【Next】第3話:行動編
私たちが考える愛媛の共創
~ないものねだりは、もう終わり。明日から愛媛で始める「3つのできること」~

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