【第1話】 杜の都で見た「未来の景色」
~「愛媛には何もない」は本当か? 仙台『YUINOS』が教えてくれた、地方都市の新しいスタンダード~
今回の行き先は、東北の大都市・仙台。
もちろん、愛媛より都会だとは知っています。でも、所詮は同じ「地方都市」。東京やシリコンバレーに行くわけじゃない。
「ちょっと進んだ事例を見て、愛媛にも取り入れられそうなヒントがあればいいな」
そんな、修学旅行気分の「お客様マインド」が心のどこかにありました。
しかし、仙台駅に降り立ち、視察先である『YUINOS(ユイノス)』の前に立った瞬間。
自分たちの地元との大きな環境の差をみました。
単なる「コワーキングスペース」ではない。「未来」がそこにあった
私たちが訪れたのは、仙台市のスタートアップ支援拠点『YUINOS(アーバンネット仙台中央ビル)』。
足を踏み入れた瞬間、肌で感じる「空気」が違いました。
「ここが、行政や大学が関わる施設……?」
私たちの知っている「公共施設」のイメージとは、あまりにもかけ離れていました。
クリエイティビティを刺激する洗練されたインテリア。壁一面のガラスから差し込む光と、ふんだんに配置された緑。
まるで東京のIT企業のオフィスのようです。
しかし、驚くべきは「おしゃれさ」だけではありません。
顔認証システムで開くドア:セキュリティと利便性がテクノロジーで統合されている。
圧倒的な開放感:あえて空間を広く使い、偶然の出会いや自由な発想を誘発する設計。
実装された未来:4Fには次世代放射光施設「ナノテラス」との連携拠点があり、AIやロボットの展示が「当たり前」のように並ぶ。
ここは単に「机と椅子がある場所」ではありませんでした。 「ここに来れば、未来がつくれるかもしれない」と、本気で思わせてくれる「装置」だったのです。
「オール仙台」のエコシステムという衝撃
施設以上に衝撃を受けたのは、そこにある「仕組み」です。
YUINOSは、ただの箱物ではありません。 ここには、仙台市、東北大学、NTT東日本、そして地域の企業が一体となった「オール仙台」の支援体制が完成されていました。
「起業したい」と思った学生がここに来れば、相談から資金調達、技術支援、そして海外展開のビザサポートまで、ワンストップで繋がれる。行政の担当者も、大学の先生も、企業のビジネスマンも、ここでは「支援者」や「プレイヤー」としてフラットに混ざり合っています。
「『愛媛にも熱いプレイヤーはいる。でも、ここまで”一つ”にはなっていない』
私たちが普段、活動する中で感じていた”もどかしさ”の正体。」
でも、仙台にはその「すべて」が繋がて大きなこと成し遂げる強い思いを感じました。
それは誰かが魔法で作ったものではなく、この街の人たちが本気で「若者の挑戦」を応援しようと積み上げてきた結晶でした。
「すごい」の後に押し寄せた、「悔しさ」の正体
一通りの視察を終えた後、私たちの心に残ったのは、単純な「感嘆」ではありませんでした。
喉の奥が熱くなるような、強烈な「悔しさ」です。
「なぜ、私たちの街にはこれがないのか?」
「なぜ、私たちはこの環境で戦えていないのか?」
仙台の同世代は、この恵まれた環境を使い倒し、世界を見据えてビジネスを作っている。
一方、私たちは「場所がない」「お金がない」「教えてくれる人がいない」と、ないものねだりばかりしていなかったか。
この圧倒的な「環境の差」を見せつけられた時、「愛媛も、必ずできるはずだ」という、可能性も同時に感じた。
これは「環境のせい」なのか? それとも…?
YUINOSという施設・環境の違いは、確かに愛媛との徹底的な差でした。
「予算をつければ解決する」
そう強がることもできるかもしれません。
しかし、視察を続ける中で、私たちはさらに大きな事実に気づくことになります。
彼らと私たち、両方地方にすむ同士の間にある決定的な「差」。
それは、立派な建物や制度のことではなかったのです。
施設よりももっと衝撃的だったもの。
それは、そこにいる「挑戦者」の皆さんの目の色でした。
(第2話へ続く)
【Next】第2話:
「英語が話せない」は言い訳にならない。東北大生に見る「視座」の高さ
~施設よりも凄かったのは「人」だった。世界を見据える同世代と、私たちの現在地~